どうか、わしも仲間に入れてくれまいか
いつも有難うございます。
エースセミナーの福永です。
毎年、この時期になると扱う物語があります。
中2の国語の教科書に載っている「走れメロス」です。
誰もが知っている名作です。
音読すると、大体40分はかかります。
Youtubeには声優さんがカッコよく朗読したものもアップされています。
何回聞いても聞き惚れてしまいます。
ところで、小説というものの読み方は人それぞれあると思うのですが、「登場人物に感情移入して読む」ことが多いのではないでしょうか。
「自分が同じ立場に立ったとしたら、きっとこんなふうに感じて、こんな行動をとると思うけど、コイツはこんなことをやってのけるんか、スゲェ!」とか、「登場人物になりきって、悲劇のヒーロー・ヒロインの気分に浸ったり」とかするものですよね。
そういった観点からすると、中2の生徒の皆さんが感情移入し易いのは、やっぱり主役のメロスか友達のセリヌンティウスなんでしょうか。
でも年を取ってみると、圧倒的に「暴君ディオニス」に気持ちが流れます。
単に私がひねくれているだけなんでしょうか。
いずれにせよ、メロスもセリヌンティウスも、途中でちょっとだけ疑いの心が生じたり、諦めかけたりはしたものの、基本、最初から最後まで「良い人」であり続けます。
その点、ディオニスは、初めと終わりでは180度変わってしまいます。
小説では、「変わらないものの良さ」と同時に「人の心の変化」が描かれていることが多いです。
人を信じることができなかったディオニスが、メロスとセリヌンティウスの姿に触れることによって、人というものは信じるに値するものであることに気づき、自らの非を認め、「どうか、わしも仲間に入れてくれまいか」とまで言えるようになるのです。
なかなかできることではありません。
数年前までは良い王様だったのに、人を信じることが出来なくなってしまったのには、何か原因があるはずです。
物語の中には描かれてはいませんが、何かがあったということは想像に難くありません。
ひょっとしたら信頼していた人に裏切られて、心に深く傷を負ってしまったのかも知れません。
それでもディオニスは、再び人を信じる道を選び取って昔の良い王様に戻るんですね。
ほぼラスト、そんなディオニスの姿を見て群衆が叫びます。
「万歳、王様万歳。」
恐れ、憎んでいた暴君が改心する姿に感動して、群衆の心も変わったのではないかと思います。
読み取り方、感じ方は人それぞれです。
百人いれば百通りの感じ方があることと思います。
「走れメロス」に限らず、保護者の皆様が感じられた世界をお子様と共有し合うというのも、面白いかもしれませんね。
お陰様で私福永も野澤も元気です(昨日の検温結果=福永35、8℃、野澤36、5℃でした)。
生徒の皆さんと保護者の皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
本日もよろしくお願いします。